あの日、飛び込んできた人が。
 僕の世界を変える扉を開いた。

 あの人がいた。色々な強さに触れた。
 弱さにも触れた。優しさに触れた。涙に触れた。
 17歳の、忘れられない夏休み。

 僕は、たくさんの「想い」と出逢ったんだ。




SUMMER WARS




カウントダウンと終わりの始まり《激動の朝へと》

カウントダウンと終わりの始まり《擦れ違いの指先、そして還らぬ時間》

カウントダウンと終わりの始まり《明けゆく空に、還る人へ》

その手を繋ぐ、彼の決意《まだ負けてない》

その手を繋ぐ、彼の決意《凛として咲く花の如く》

その手を繋ぐ、彼の決意《奇跡は君の手で》

繋がる、広がる、愛しい世界と優しい手のひら《宣戦布告をいたしましょう》


























カウントダウンと終わりの始まり《激動の朝へと》


 それは、きっとパンドラの箱だった。

「the magic words are squeamish ossifrage To know is know that you know nothing That is the true meaning of knowledgq ……?」

 最初の文章を、僕は知っている。
 RSA129――解読に千年はかかると言われた有名な暗号だ。それを自分でも解けたと思うと、誇らしくなる。
 書き殴ったレポート用紙を手に取り、月明かりに照らされたそれを眺めながら、ため息をついた。
 ……数学オリンピックの代表戦でも、こんなふうに解けたら良かったのに。
 いい加減、すっぱり諦めるべきなのだろう。でも、あともうちょっとのところで届いたはずの夢が、目の前で消えてしまったことがショックすぎたのだ。
 うじうじ悩んでいる自分を、親友が呆れながらも心配してくれていることを知っている。あまりのショックで自殺でもしかねない、なんて考えて毎日傍にいてくれた。その気遣いに甘えてしまって、僕はまだずるずるとそのことを引きずっている。

 もし、も。

 もしも僕が、本当にあの栄さんに認められる人間だった、なら。
 きっと数学オリンピックにだって、出られたと思うのだ。
 僕なんかのどこを見て、あの人は認めてくれたのだろう。誇れるものなんて、何一つ無いのに。今だって嘘をついていて、騙しているくらいなのに。
 なんで、認めてくれたんだろう。

 明日もまた騙し続けるのだと思うと気が重い。それに、あの伯父さん? に先輩は夢中になってしまって放って置かれそうだ。
 バイトなんて、引き受けなければ良かった。佐久間に任せてしまえば良かった。憧れの夏希先輩に頼られたのが嬉しかったけど、正直自分じゃ役不足だ。きっと佐久間なら当たり障り無くこなしてみせただろう。
 …………東京に、帰りたい。
 どうせ一人の家だけれども、佐久間がいる。夏休みを二人で部室で過ごして、遊びに行ったりしてもいい。家にはいたくない、と気がついてくれる佐久間ならきっと泊まりに来たりもしてくれる。
 いつもの日常に、帰りたい。

 そんなことを考えながら、用紙を集めて片付けて、布団に入る。
 少しずつ押し寄せてくる睡魔に身を委ねながら、あんなに楽しかった暗号は久しぶりだな、なんて思った。


“変革の時は直ぐ傍まで”


































カウントダウンと終わりの始まり《擦れ違いの指先、そして還らぬ時間》

 ばかだねぇ、と呟いた。

 今も瞼に鮮明に思い出せる姿がある。納戸の隅に、隠れるようにして眠る幼い子供。
 聡い子だったから。自分がどんな存在なのか気がついてしまったのだろう。口さがない親戚は皆黙らせたつもりだけれども、全ての悪意からこの子を守りきることは酷く難しい。
 どうしてあの子を庇うの、と皆が口を揃えて言う。
 じゃあ何であの子を責めるんだい、と聞き返したら皆が黙った。
 馬鹿馬鹿しいことを言うんじゃない。あの子はもう、うちの子だ。陣内家の男だ。これ以上ぐだぐだ言うんヤツはあたしの前に出ておいで! と言ったら、誰も表では口にしなくなった。
 けれど、表で言わないだけで。あの子を取り巻く環境は何ひとつ変わってやしなかった。
 もっと上手く、あの子を助けられていたらまた違ったのかもしれない。

 出て行った馬鹿息子を思い、栄は目を伏せた。
 朝顔畑が蘇る。握った小さな掌。夏の暑い陽射しの中を、二人で歩いたあの日。
 もう、あの子が戻ることはないのかもしれない。
 愛しい愛しい、家族の一人。
 お金なんてどうでも良かった。財産なんて、人と人との繋がりに替えられるものじゃない。もし何か目的があって出て行ったのなら、それでも構わなかった。
 …………あんなやり方でさえなければ。
 この腕で、抱きしめることだって、出来たのに。
 かわいそうな子だ。とっくのとうに、出逢ったあの日からずっと、自分はあの子を認めているのに。わざわざ何かを成さなくても、お前はこの家の子だと――何度も言っていたはずなのに。
 寂しい子だ。哀しい子だ。
 何をしなくたって、愛しさはちゃんと溢れていたのに。
 もっと早く、気付いてやりたかった。あの子の癒せぬ寂しさや苦しみに。そうすればきっとこんなことにはならなかった。

 …………少し、似ていると思った。
 曾孫の連れてきた少年は、少し寂しい瞳をしていたから。
 彼はあの子のようにならなければいい。いつまでも埋まらぬ寂寞と引け目に悩んで、苦しんで、そうして道を間違えることなんてなければいい。
 ……明日、だ。
 明日は、あの子の後始末をつけなければ。彼にも手伝ってもらおう。大丈夫、みんなで力を合わせればきっと何とかなる――――。

 ああ、でも。
 その場にあの子もいたらいい、と願わずにはいられない。
 あの日繋いだ指先が、また触れることが出来ないだろうかと、願い続けている。


“ひとつの願いは永久のなかに”































カウントダウンと終わりの始まり《明けゆく空に、還る人へ》


 あんなに、しゃんとしていたのに。

 まるで現実味の無い光景は夢かと思うほどだった。悲鳴と怒号、悲嘆な声はドラマか何かのようだ。
 つい。――つい数時間前だ。
 自分と花札をして、笑っていたあの人は、動かない。瞼は閉じられその顔は酷く穏やかで。
 最期に苦しみは感じなかったのだろう。それだけが、救い。
 みんな泣いている。悲しんでいる。自分が、こんなに落ち着いて話せるのは部外者だからだろうか。
 ……いや、違う。
 きっと、認めたくないのは同じなのだ。
 それでも受け入れなくてはいけない。あの人が託した思いを蔑ろにしない為にも、前を見なくてはいけない。
 ずっと、臆病で縮こまっていた自分を認めてくれた唯一の人。
 誰かにあんなふうに認めてもらえたのは、初めてだった。
 数学を通してでもなく、相対しただけで認めてもらえたのは――――。


「…………ありがとう、ございました」

 あなたがいたお陰で、僕は。

 まだ何も終わっていない。むしろこれは始まりにすぎない。始まってしまったら、終わらせないといけないのだ。
 憂いがひとつ、きっと残っている。強くて凛として、優しかったあの人の心残り。


 そのために、僕ができることは。



“たった2日でも、過ごした時間が本物ならば、それはかけがえのない物となるのだと教えてくれた”




























その手を繋ぐ、彼の決意《まだ負けてない》


 まだ、ちっとも負けてなんていない。

 たったひとつの答えは出ていない。時間はあるし、結果が出てしまったわけじゃない。キーパーソンがいなくなってしまったのはとても痛いけれど、それだってヒントがひとつ消えただけだ。答えはまだ、自分の中に眠っている。
 一人じゃ駄目だった。
 もし自分一人だったらさっさと逃げ出して、ネットの中の誰かのように「英雄」を探したかもしれない。何もせずに自分以外の『誰か』が奇跡みたいに救ってくれるのを無責任に待っていた。

 でも――――ひとりじゃ、ないのだ。
 ここには頼れる大人も、先輩も、年下の少年だっている。みんな自分よりもっともっと凄い人で、離れた地には本当に凄い親友だっていてくれる。
 こんなに凄い人たちがいるんだから、きっと、なんとかなる。
 そのために自分ができること。答えは出せなくても数式を解くぐらいならできるはずで。
 今、自分にできるのはこの状況を打開する数式を見つけだすこと。
 考えろ、思考を止めるな。
 何か、何かあるはずだ。この状況を逆転できる手が。
考えろ。自分はきっとそれを、目にしたはず――――――

「………………あ、」

 そうだ、昨夜。
 あの人とした、もの。

 きっとゲーム好きなヤツが、のってくるもの―――――!!



“無くしてもまだ、あなたはここに生る”



























その手を繋ぐ、彼の決意《凛として咲く花の如く》


 あなたなら、どうしてましたか。


 きっと、こんなことになるまで放って置かなかった。昨日のように行動は早く、みんなの力でもってやり遂げたはずだ。
 でも、今もうあなたはここにいない。
 大好きな、大好きなあたしのおばあちゃん。
 引っ張り回して、迷惑をたくさんかけてしまった彼が頼もしく見える。健二くんって、こんな凄かったんだっけ?
 気付いて、ううん見えてなかったのかもしれない。あたしは周りをちゃんと見てなくて、自分本位に動いてた。
 だから色んなことに気がつけなかった。失敗をたくさんしてしまった。きっとそんなことないよ、って優しいみんなや彼は言ってくれるけど、でもあたしが許せない。

 勝つよ。
 勝って、この家とみんなを護ってみせる。あたしだって陣内家の人間なんだ。
 勝って、それで、明日のおばあちゃんの誕生日をお祝いするんだ。
 生まれてきてくれて、産んでくれて、育ててくれて、見守っててくれてありがとう。みんな、そう思ってるはずだから。




 ――――追い詰められた。
 どうしよう。
 どうしよう。
 あたしが集中してなかったから、だから、これで終わっちゃう。ううん、終わらせられない。終わらせたら全部終わり。でも、続けることもできない。どうしよう、どうすればいい?
 なにか、なにか無いの。何でもいい。この状況を打開できるもの。
 うまく考えが纏められない。スッと頭が冷たくなる。血の気がひいて震えていく。
 どうしよう、どうしよう。
 どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう……っ!!!!


 そのとき、

 数字がひとつ、

 ふえて。



 …………ああ、
 ありがとう。まだ頑張れる。あたしはまだできる。諦めなくていい。まだ、負けてない!!!

「こいこい!!」

 吹き上げられた光の渦に飲み込まれたナツキの姿が変わって、まるで天女のよう。
 みんながあたしに力を貸してくれる。あたしは助けられている。みんなが助けてくれる。
 みんなの繋がりが、あたしを奮い立たしてくれる。
 あたしは、ひとりじゃない。
 みんなと一緒に、戦ってるんだ。


「こい!」
「こい!」
「行け! 夏希!」
「先輩いけます!」

「うああああああ……っ!!」


 勝つんだ!!


 ――――そして、花びらがヒラヒラと舞い踊る。



“美しく咲き誇る、奇跡の女(ひと)よ”







































その手を繋ぐ、彼の決意《奇跡は君の手で》


 初めて見た時から、凄い家だと思った。
 外観や広さもそうだけれど、何よりも雨風に晒された門や柱の色に歴史と重みを感じたのだ。自分みたいにちっぽけな存在じゃ太刀打ちできやしない、大きな大きな家。
 
 そして、それを護ってきた、人。

 あの人の護りたかったものは、全部ここにある。
 解っている、それは家じゃない。きっと、家族の命さえ助かればそれでいいとあの人は言う。家よりも大事なものがあるとあの人は必ずそう言う。
 でも、それでも嫌だった。
 全部護りたくなった。出来ることは全部したかった。全部、だなんておこがましいのかもしれないのだけれど、でも、それでも。
 あの人が自分へ託してくれただろうものを、護り通したくなったのだ。

「俺たちがついてる!」
「がんばって!」

「はい!!」


 憧れも羨望も勇気も決意も全部、この全てにたたきつける。

「よろしくお願いしまああああす!!!」

 あなたたちに恥じぬ、自分でいたいから。


“出逢いも悲しみも痛みも喜びも、大切なことを教えてもらった場所だから。 護り通したい、と誓う。”








































繋がる、広がる、愛しい世界と優しい手のひら《宣戦布告をいたしましょう》


 ……面白く、ない。
 胸の奥に何かが詰まったように、重いものがどっしりと居座っていてもやもやする。ついでにイライラもして、せっかく晴れていた気持ちが暗鬱になっていく。
 どうしてだろうか。
 昨日は、守れたのに。二回も負けたけど、あの人のお陰でもう一度立ち上がることが出来て、そしてみんなでアイツを倒せたのに。家はボロボロだけど修繕すれば大丈夫だし、みんな大きな怪我は無くて。
 それなのに。
 どうしてだか、心がゆらゆら揺れている。どうしようもなく悲鳴を上げかけている。
 ――――目の前の光景が、その原因だとすれば。

「よええ〜!!」

 僕は。



 子供たちのはしゃぐ声が遠くに聞こえる。大人のわいわいした声も遠くから聞こえてくる。
 こんなに大勢の人が訪れるなんて、本当にあの人は凄かったんだ、なんて今更のことを思った。
 視界が暗い。目を開けようとすると何かが目蓋の上に乗っていた。
 何だろう? と手でどかすと視界が開ける。
 天井が見えた。身体の上に何かがかかっている。
 身を起こすと少しだけ頭がふらついた。身体にかかっていたのはタオルケット。目蓋と鼻の上には濡れタオル。
「……あ、そっか……」
 夏希先輩に……ほ、ほっぺたに……されて……。
「倒れたのか……」
 情けない。
 まだ鼻血が、というか頭に負荷がいきすぎて出した鼻血が完全に止まりきっていないこともあったけど、あんなに大勢の前で醜態を晒してしまった。情けないことこの上ない。
 ……夏希先輩、呆れてなければいいんだけど。
 ため息をつきながら肘をついて身を起こすと、縁側から見える庭にはまだたくさんの人の姿があった。子供達は元気に駆け回っている。
 昨日あれだけのことがあったのに、この家の人は本当に凄い。
 今朝方侘助さんも理一さんに送られて駅に向かった。今頃成田にいるんだろうか。もう飛行機に乗ったんだろうか。
 みんな、凄い。強くて眩しくて、キラキラしている。
 太陽の陽射しの中、動き回るみんなを見て口元がゆるんだ。

 少しでも、助けになれたんだろうか。

 あの人が願った役割は、果たせただろうか。
 みんなを護れたのは自分の力だけじゃないけれど、その中の少しでも必要してもらえたのだろうか。

 キラキラキラキラ、輝いている。夏の光の中で、元気いっぱいに生きている。

 護れてよかった、と心の底から嬉しく思った。



「…………起きたの?」
「え、あ……佳主馬くん!」
 不意にかけられた声に仰ぎ見れば、グラスを持った佳主馬くんが僕を見下ろしていた。
 ちょっとぶっきらぼうな態度だけれど、僕を見る目は優しくて、それが嬉しい。
「具合は?」
「うん、もう大丈夫だよ。……はは、情けないとこ見せちゃったね」
「まったくだよ」
「う……」
 ズバリ言われる台詞がぐさっと心に突き刺さる。まったくだから何も言い返せないけど。
「……デレデレしちゃって」
「え」
「そんなに、夏希ねえちゃんのことが好き?」
 ストン、と腰をその場に降ろして佳主馬くんがじっと僕を見る。吸い込まれそうなその瞳に、訳もなくドキドキした。
「え、あ、うん……」
「……付き合うの?」
「……夏希先輩が……どう考えてるか解らないけど……もし僕なんかと付き合ってくれちゃったりしたら、今度こそ鼻血も止まらないかも」
 “あの”憧れの夏希先輩と付き合う、なんて。考えただけで大変だ。
「……ふぅん」
 カラン、と佳主馬くんのもつグラスが揺れる。視線を向けたらそのままグラスを差し出された。
「飲む?」
「あ、ありがとう」
 ちょっと喉も渇いてたから有り難く受け取る。麦茶が美味しい。
「全部飲んでもいいよ」
「本当? ごめんね」
 お言葉に甘えて飲み干したら、何故か佳主馬くんはグラスを受け取ってじっとそれを見つめた。
 どうしたんだろう? って首を傾げていたら重いため息をついて、彼は僕を見やる。
「……まさかまさかと思ってたけど……本気みたいだな、これ」
「え?」
 なにが? と問いかけようとしたら、庭から明るい声が僕を呼んだ。
「あ、健二くん起きたの!?」
「おー起きたのかい? 情けないぞ健二くん! あれぐらいで倒れてちゃ!」
「大丈夫ー? まだふらついてるようなら休んでなさいねー?」
 飛び交う声は、全部自分を気遣うもの。
 そして夏希先輩は心配そうに、そしてどこか嬉しそうに駆けてくる。
 ああ、本当に。
 護れて――――よかった。

「……ねぇ健二さん」
 ことん、とグラスが畳に置かれる音に振り向けば佳主馬くんの顔が思いの外近くにあってびっくりした。
「え、な、なに?」
「夏希ねぇとはまだ付き合ってはないんだよね」
「え、う、うん……」
「健二くんー」
 どうしたんだろう? と首を傾げている間にも後ろから夏希先輩の声。振り向こうとしかけて、不意に顎が掴まれて「え?」と不思議がる間も無いうちに――――


 ――――チュッ


「……………………え」
「っ!!!?」
「ちょっ!?」
「えええっ!!」

「……ごちそうさま」

 触れた唇を、最後に舐められて。
 嬉しそうな彼の顔を呆然と見上げた。

「か、か、かかかかか佳主馬……っ!!」
「と、いうわけだから夏希ねえちゃん」
「あ、ああああアンタ……っ!!」
「まだ付き合っては無いんでしょ? ――なら僕にもまだチャンスはあるよね?」

 どもる夏希先輩と、意味不明な佳主馬くんの言葉。
 思考回路は今度こそショート寸前。

「あー……佳主馬ってそういう……」
「こりゃ面白いな! 頑張れよ佳主馬!」
「夏希ー、超強力ライバル登場しちゃったわねー頑張れー!」

「佳主馬……あんた、覚悟しなさいよ……?」
「そっちこそ。俺は本気で持って行くからね?」
「上等じゃない! 陣内の女敵に回すとどういうことになるか教えてあげるわ!」
「え……あの……」
「健二さん」
「健二くん!」
「は、はい!」
 二人が息ぴったりに振り向いて、僕を見る。思わず姿勢を正した僕に、それから綺麗な綺麗な笑顔が向けられて。


「「大好きよ!(だから)」」


「……ふぇ……?」
 そんな綺麗な笑顔に勝てるわけもなく。
 僕は、再び布団へと逆戻り。
「ちょ、健二さん!?」
「健二くんっ!?」
 慌てる二人の声を聞きながら、僕は何故だか一生分の幸せをもらったような気がしていた。



“The next is LOVE・WARS!!”