空の青 海の青 きらきらひかる

私のたからもの
遠く繋がる絆 同じ星の青

ねぇあなたも知ってるでしょう?
広く優しいあの色に眠る心を
その名前を 強さを気高さを
どうか 伝えて


運命のような二人の奇跡







この星に生まれた青色の奇跡





「…………アレン?」
「あ、快斗さんこんにちはー」




 不意にかけられた声に、アレンはふっと歌うのを止めた。


「今のアレンが?」
「あははー聞かれちゃいました? まだ練習途中なんですけど」
「いや、下通ってたら歌が聞こえてきたからさ。思わず上ってきたんだ」


 屋上へ続く階段の下でそれが聞こえたのは本当に偶然だった。
 恐らく常人よりも遥かに耳のいい快斗だから気づけた歌声だ。
 聞き覚えのある声だったから誰が歌っているかなんて解っていたのだけれど。

 どうしても、微かに聞こえた歌詞が気になってしまったから。

 コンクリートの壁を背にするアレンの隣に座り込む。
 空には雲一つなく、透き通った綺麗なブルーが広がっていた。



「…………あのさー」
「はい?」
「…………今の、曲は?」
「あー、『Blue Wonder』ですか?」
「!!……それ、タイトル?」
「はい。『Luna』っていうバンドの曲なんです」
「へー…………」
「それがどうかしましたか?」
「え? あ、いや…………その、歌詞が、ね」



 まるで。



「歌詞……ですか?」
「うん、まぁ……ちょっと」
「いい歌詞ですよねー、そのバンドの歌詞ってボーカルの子が書いてるんですよ」
「そうなんだ」
「えぇ。最初はエドが聞いてたのを聞かせて貰ったんですけど、もうすっかりファンになっちゃって!」
「へー、エドちゃんが……」
「意外ですよねー。…………あ、そういえば」
「ん?」




「この歌詞って快斗さんと新一さんみたいですよね」





「……え……」
「二人とも似た感じの青い瞳ですし……って、快斗さん? どうしたんですか呆けたような顔しちゃって」
「いや……その、何でかなって」
「? 何となくですけど。聞いてるとお二人のこと思い出すんですよね、特に『同じ星の青』ってとことか」
「そ……っか。うん、そうなんだ……」
「……快斗さん?」
「……ありがとアレン。俺、自意識過剰じゃないっぽい」
「………………快斗さん以上に新一さんの隣が似合う人、いませんよ。例えどんなことをしていたって、快斗さんじゃなきゃ新一さんだって嫌だと思います」
「…………うん。サンキュ」




 自分が何をしているのか、解ってて言ってくれるから。

 それがとても嬉しくて。

 そっと横にある細い肩に頭をもたれかけさせた。




「……………………何やってんだ?」
「あ、新一さん」
「新一? わーいこんな時に会えるなんてやっぱ運命……!!」
「このバ快斗――――っっ!!(どがっ!!)」
「ぐがっ!!」
「てめぇとうとうアレンにまで手出しやがったか!! 見損なったぞ!!」
「え? え? えぇぇっっ!?」
「あばよ!!」
「え、ちょっ新一誤解!! つーかまたって何!! 俺新一一筋なんだけど!?」
「この前歩に何かしてただろ?!」
「あれは牽制!! 新一は俺のって主張したの――っ!!」




 現れた新一に蹴られた痛みに呻きながらも、快斗は必死で新一を追う。
 その姿に笑みを零していると、不意に陰った光にそちらを見やった。



「何があったんだ一体……」
「神田」
「どうしたんだ、今の」
「えーと…………青って、結局同じなんだなって」
「は?」
「空の青も、海の青も、どっちも同じこの星の色ってことですよ」
「……本当に何の話してたんだお前ら……」
「…………あんな風に、ずっと一緒にいられたらいいなって話です」
「!!」
「いて、くれますか?」
「…………離す気はねぇよ。今もこれからも、ずっとな」
「はい!」







水平線の向こう 交わる色

二つの同じ青<ブルー>

たとえどんなに離れても 繋がっているよ


君の隣が僕の還る場所






“きっと繋がる絆は赤ではなく”