※ギアスR2、18話捏造です。最強カップルが介入しまくっております。何時ものごとく捏造万歳!状態です。19話総無視です。マジックカード発動! 死者蘇生(違)! 読後の苦情はご遠慮願います。何となくギャグ?
 それではUターンorスクロールでどうぞ!
























 光の中に消えた。
 希望も未来も願いも。
 残されたのは本当に孤独になった魔王だけ。

「ナナリー……ッ!」
「にい、さん……」
「ナナリー、ナナリー、ナナリーナナリーナナリー……ッ!!」
 名を呼ぶ。大切な宝物の名を何度も。
 だがそれに返る声は無くただ虚しくその場に響くだけで。
 偽りの弟の声は遠く、それが自分を呼ぶのを気付きもせず。
 ひたすらに唯一人を求めて。
 もはや全てが無意味となる――――

「あー、あーゼロ? こちらジョーカー。聞こえるかー?」

 そんな時、通信で入ってきた声に意識を引き上げた。

「……なん、だ。今は後に……」
「あ、そうだゼロごめん! ウィザード壊したというかさっきので消えた!」
「そんなことどうでも……っ」
 聞こえてくる声はいやに暢気で不快しか感じない。彼らだって大切なものを奪われた時の恐怖は知っているはずなのに。そんな気持ちも抱えることすらわずらわしく、ルルーシュは通信を強制的にシャットアウトしようとコンソールに指を伸ばした。
 しかし続く言葉に動きを止める。

「あ、だけどお前のお姫さまはちゃんと救出したから許してくれよ?」

「…………え?」
「いやー、一か八かだったからさ。ウィザード踏み台にしてジョーカーで脱出したんだけど」
「ラクシャータに感謝だな。ジョーカーがスピード重視で助かったぜ」
 “お前のお姫さま”
 それはつまり。
「…………どういう、ことだ」
「だから、ナナリー総督と咲世子さんは無事だ。……悪いけど他は無理だった」

 その瞬間、ジョーカーが何処にあるのかを確かめてルルーシュは蜃気楼をかってない速さで飛ばした。




「蜃気楼……」
「ゼロ……」
 朝比奈から最期に渡されたデータはまだ見ていないものの、ゼロと話す必要を感じた藤堂は一度斑鳩に戻ると格納庫でゼロの帰還を待っていた。朝比奈があの光に消えたことは酷く辛い。だがその彼が残してくれものを悲しみに暮れて無碍にすることは出来なかった。日本のために。これからの未来のために。
 隣では千葉が唇を噛み締めて俯いている。そんな彼女を慰めることも出来ずにただゼロを待つことしか出来なかった。
 暫くすると蜃気楼が滑るように格納庫に入ってくる。どこか急いた動きに訝かしむものの出てくるのを待っていると、開いた瞬間飛び出すように出てきた人影に思わず目を瞠った。
「……ゼロ?」
「すまない藤堂、話は後で聞く!」
 さらさらと揺れる黒髪は日本人にもあまり見ないほどのぬばたまの色。艶やかに流れる髪とその白皙の顔を晒して、少年は格納庫から駆け出していく。止める間もなく彼はその場を去り、残されたのは呆然とする騎士団員達。
「……へ?」
「いまの、」
「誰?」
「でもあの服……」
「…………まさかっ!!」

『ゼロ――ッッ!?』

 衝撃で混乱する団員達を尻目に藤堂はそっと息をついた。確かめようとしていたことは思わぬところで解明された。あんなにしっかりと被っていた仮面を忘れるぐらいなのだから、今は追って問い詰めようとしても無駄に違いない。千葉すらも唖然とした表情を浮かべているのを見て腕を軽く組む。
 怒りはある。疑念もある。だけれども。
「……彼もまた、人間か」
 少し経ったら、追いかけるとしよう。


 仮面もマントも何もかもを置き去りにしてルルーシュは駆ける。途中すれ違う団員や幹部達がぎょっとして声をあげるのも解っていたがそれでもルルーシュは走った。頭の中はたった一つの名で埋め尽くされていてそれ以外のことなど考えられないのだ。
 輝ける希望の名前。たった一人の愛しき人。
 全て彼女が生きる未来のために。
 最後の扉を開けて、ルルーシュはその名を叫んだ。

「ッ、ナナリー!」

「……え?」
「っ、え!?」
「えっ、えっ、その服……」
「ゼロ……!?」
 息せき切って駆け込んできた美貌の少年に、ブリッジにいた面々は一瞬思考を停止させた。つい数秒まで入ってきた人物達が連れる少女に騒いでいたというのに、落とされた爆弾は更にとんでもない。
 ラクシャータだけが「へ〜?」と感心する中で、新一はため息をつき快斗はぎょっとする。シスコンを少し舐めていたのかもしれない。まさかここまで動揺して来るとは思ってもみなかったのだ。
「……ルルーシュ、おまえ」
「ちょ、仮面はっ!?」
 そんな二人の様子も気に留めず、ルルーシュは二人の傍で椅子に座る人物をただ一点に見つめた。白くまろい頬は少し女性らしさを増したように思える。たった一年の間といえど彼女の成長を間近で見てこれなかったのが悔しい。けれども今はそんなことよりも、そこに本当にいるのかを確かめたかった。
「……ナナ、リー」
 呼ぶ声が震える。声で何処にいるのかを察知したのか、ゆるりと愛らしい顔がこちらに向けられる。そうすれば不安で彩られていた表情がくしゃりと歪み、涙がほろりと零れつつも花が開くように笑みが浮かぶ。
「っ、お兄様……っ!」
「ナナリー!!」
 駆け寄ってその体をかき抱いた。体温がじわりと肌に染み、回される腕は震えている。それでもしっかりと伸ばされた手を握り返してルルーシュもまた涙をぼろぼろと零した。
 生きている。生きている。温かい。ここに、いる。
「お兄様っ! お兄様ぁっ!」
「ナナリー! ナナリー……! 無事で、よかった……!」
「お二人が、助けてくださったんです。ぎりぎりのところで脱出して……」
「お前が生きていてくれて、良かった……本当に、良かった……っ!!」
 抱きしめて抱きしめられて、ルルーシュは泣きぼろめながらも微笑んだ。噛み締めるようにナナリーを抱きしめていると肩をぽん、と叩かれる。見上げると新一が笑っていて快斗がぐ、と親指を突きだして見せた。
「……ありがとう。本当に、ありがとう……」
「まぁ、頼まれていたことだしな」
「ナナちゃんいなくなったらルルーシュ使い物にならなくなるしねー」
 敢えて軽く言う二人に気付いて、改めてルルーシュは頭を下げた。そうしているとナナリーが少しだけ困ったような笑みを浮かべる。呟かれた一言にルルーシュは思わず目を伏せた。
「ゼロは、お兄様だったのですね……」
「……すまないナナリー。だが、俺は」
「でもそんなこと、より」
 そんなこと、と言うナナリーにルルーシュは目を瞠る。ナナリーはまだ涙の残る顔でゆるりと微笑むと、ルルーシュの手をしっかりと握り締めた。
「お兄様が生きててくださって、よかった……!」
「ナナリー……」

「……いやー、美しき兄妹愛だねぇ」
「素顔見せちまったけどな」
「そこは、まぁなんとか」
 感動の再会を見守りながら快斗と新一は、さて、と周りを見渡した。
 ナナリーしか見えていないルルーシュは気付いていないようだが、扇や杉山、南達は呆然としているようだしラクシャータは興味津々。そのほかオペレータの三人娘もゼロが余りにも整った顔をしているために目が少し熱っぽく、ルルーシュの後ろから追いかけてきたロロは憎憎しげにナナリーを見つめている。
「兄さん!!」
 突然声が兄妹の再会を断ち切った。そちらを見やれば目の据わった少年――ロロがルルーシュを見つめていた。握り締められた携帯電話は軋むような音すら立てている。その様子を見やり、ルルーシュは目を剣呑に細め快斗と新一をナナリーの傍に無理やり引き寄せた。
「……にい、さん」
「……ロロ」
「……っ、僕は!」
「そこにいらっしゃるのはどなたですか?」
 泣き出しそうな、しかしそれ以上に殺気の篭ったロロの声を柔らかい声が遮った。それにキッ! と反応してロロは憎憎しげにナナリーを睨みつける。
 チッと隠れて舌打ちをしつつルルーシュは、ナナリーの名前を殊更優しく呼んで安心させようと務めた。
「ナナリー、何も」
「僕はっ、兄さんの弟だ!」
 しかしその前に叫ばれた悲痛な声に断ち切られる。叫ばれた言葉にナナリーが驚いたように口元に手を当てて少し困惑気味に首を傾げた。
「っ、お兄様の……?」
「ナナリー、これは」
 ルルーシュは否定しようと口を開いた。もし何かあったとしても快斗や新一がナナリーを守ってくれるだろう。そう考えての行動だったが、ルルーシュは忘れていた。
 彼の妹は、皆突飛な考えや行動をすることが得意なことに。
「なら、私の新しいお兄様なのですね?」
「…………え」
「え」
 ぽむ、と手を打ち合わせナナリーはにっこりと微笑んでみせた。その微笑みにルルーシュもロロも、周りの展開についていけなかった団員達も固まる。え、事情は良く解らないけどちょっとなんか違うんじゃ。
「だってお兄様の弟なら、私にとっては兄になるのでしょう? それとも、えっとロロさんですよね。ロロさんは私よりも年下なのですか?」
「いや、たぶん上だけど……」
「ならやっぱりお兄様ですよね」
「…………えぇと」
 のんびりと問いかけてくるナナリーに毒気が多少抜けたのか、ロロが困ったように眉を潜めた。こんな反応は予想していなかった。てっきり嫌がられると思っていたと言うのに。
「嬉しいです。もう一人家族が増えるなんて」
「僕、は」
「ロロお兄様と呼んでもいいですか?」
「え? え? え?」
「お嫌、ですか?」
「いや、その……僕は……」
 すっかりナナリーのペースに巻き込まれて上手く言葉が紡げない。大体ロロは家族や愛情というものが全く解らなかった人間なのだ。だからこそルルーシュに執着して、捨てられないようにナナリーを排除してしまおうとさえ考えていたのにその当人からこんなことを聞かれている。予想外だ。
 動揺して喋れなくなっているロロに気付き、ナナリーは少し思考を巡らせる。それから淡い笑みを浮かべて首を軽く傾げつつ問いかけた。
「……ロロさんは、お兄様のことお好きですか?」
「え? うん、好きだよ」
「私もお兄様が大好きです。同じですね、私達」
「同じ?」
「はい。お兄様のことが大好きな、兄妹です」
 “兄妹”をさり気なく強調したナナリーに気付き、ロロは目を大きく見開いた。息を呑み、体を震わせる。欲しいのはルルーシュだけだった。兄さえいてくれれば、もう世界すらもどうでもいい。二人だけで。
 ――そう思っていたというのに。
 ギアスが使えない。快斗や新一がいるとはいえ、それでも分はこちらにもあるのに、ギアスが使えない。目の前の少女を殺すことなんてロロにとって造作もないことなのに。
 手が動かない。足が動かない。
 彼女を殺すことが、出来ない。
「……っ」
「……ロロさん?」
「……僕は」
「?」
「僕も、家族でいいの?」
「もちろんです。……今日から三人家族ですね。よろしくお願いしますロロ兄様」
 そっと白い手が差し出される。伸ばされた手は優しく温かそうに見えて、ロロは顔を歪ませるとその手に躊躇ってからそっと触れる。
「…………ありが、とう……」
 呟かれた言葉に、ナナリーは優しく微笑んで手を握り締めた。

「……さすがナナちゃん」
「ああもあっさりロロを懐柔するとは……」
「………………」
「……どしたの? ルルーシュ」
「…………どうすればいいのかが解らなくなった」
「……あー」
 暫くそんな二人の様子をこちらも呆然として見ていたが、ルルーシュは頭を抱えて唸った。
 確かに、ナナリーが認めたのならばルルーシュはロロを拒絶出来なくなる。だがしかし彼は許せない罪を犯していた。それを許すことは出来ない。かといって今すぐ殺すことも出来ない。今ロロが消えればナナリーは悲しむ。というか既に「それで、お兄様はどうしたんですの?」「結局つまづいて恥ずかしそうにしてたよ」「お兄様はやっぱりドジっ子さんですね」と仲良く会話が繰り広げられている。というか待て二人とも、何の話をしている。
「シャーリーの仇でもあるもんな……」
「……しかしナナリーが」
「うーん……なんかもう微妙に意気投合してるよ、ね……」
「……諦めたらどうだ?」
「………………」
 快斗と新一が苦笑するが首肯できるわけもなく、真剣にルルーシュは悩み始める。もはや取り残されている団員達など忘却の彼方だ。声をかけ辛くなっているルルーシュの悩みっぷりに少しばかりブリッジには微妙な空気が流れ始める。
「……シスコンね」
「シスコンだわね」
「シスコンだな……」
 確かに可愛いけど。と面々が納得しつつもこの状況をどうしたものか考えているなか、南だけが間近で見るナナリーをガン見していたのを知るのは快斗だけであったりする。
 そんな中、再び扉が開き紅い人影が飛び込んできた。
「ちょ! あんたバカッ!!」
「は?」
 飛び込んできたのはカレンだった。ルルーシュを見つけるなり指差しながら彼女は絶叫する。それに不思議そうに首を傾げるルルーシュに彼女は怒鳴った。
「仮面はどうしたのよーっ!?」
「……あ」
「っていうかC.C.は!?」
「あー……」
「その……ちょっと」
「……もう何がなんだか……!」
 紅蓮を降りたら艦内がとんでもない噂で騒いでいてカレンは大急ぎでここまで来たのだ。「ゼロは物凄い美人だった」「男か女か解らなかった」「エロかった」「ムラムラした」「美味しそうだった」「カオス!!」最後はともかくとりあえずとんでもない。
「……ゼロ、君は」
 更にやっと硬直の解けた扇も近寄ってきてもはや思考も上手く巡らない。
「ええと、まあつまりゼロの正体はこの美少年で実はナナリー総督の兄でぶっちゃけブリタニア皇族で、ゼロになったのは母親を昔暗殺されてそのことに『甲斐性なし!』って皇帝に詰め寄ったら『お前はもう死んでいる』って言われてナナリー総督と一緒に日本に人質として送られたんだけど、人質としているのに日本が攻められたもんだから七年ずっと隠れ住んでてその間に諸々ひっくるめてもう皇帝あーんど皇族あーんどブリタニアふざけんな! ってなったからゼロとしてブリタニアぶっ壊してやるぜ! みたいな」
「長いな。しかも何時から神拳の使い手になったんだ皇帝は」
「これでも要点纏めてみたんだけど」
「というか重要なことをさらっと喋るな馬鹿二人!」
「心外だな。確かに快斗は紙一重だけど俺は馬鹿じゃないぞ」
「ひどっ! 俺馬鹿じゃないもん、新一馬鹿だもん!」
「馬鹿だ」
「馬鹿ね」
 新一とカレンがあっさりそう言うのを聞きながらもうどう収拾をつけたものか解らずに、ルルーシュはがっくりと項垂れしゃがみこんだ。何時ものゼロの様子からは伺えないその凹みっぷりに、扇も宥めるようにしゃがみこむ。
「あ、あのゼロ?」
「……やらなくちゃいけないことはあるっていうのに……」
「あ、ああ。……しかしゼロ。君って相当な美人だな」
「は?」
「そ、そうですね!」
「美人ですゼロ!」
「想像してたよりはなかなかのモンよねぇ〜」
「いや、そういう問題じゃ……」
 何が何だか解らないが、ひとまず顔を晒したことについてマイナスイメージは無いらしい。カレンは迂闊ぶりにため息をつき、しかし呆れたように笑っていて、快斗と新一は得意の話術で周りを丸め込んでいる。ナナリーとロロはふわふわと談笑していて実に可愛らしい。例えその内容がルルーシュのボケっぷりだったとしても。
 外からはたくさんの足音が聞こえてくる。考えてみれば先ほど藤堂と会った時に何か言いたげにしていた。ああ、彼とは面識もある。考えなくてはいけないことは山ほどある。先ほどの兵器について考えなければ。
「ほらルルーシュ」
「まだ、だろ。あの兵器がそう簡単に撃ち出せるものならばともかく、あの被害状況を見る限り、ブリタニア側にも相当な被害が出ているはずだ。対策の仕様はきっとある」
「……そう、だな」
 大切なものは取り戻せた。取り戻してもらった。
 思えば何度も助けてもらっている。帰るためにはルルーシュが必要だからだと想っているが、彼らはそんな損得関係無しに手を伸ばしてくる。その手を掴んだつもりはないのに、気付けば掴まれている。強い人間だ。
 取り戻して安心して、やっと気付くなんて遅いかもしれない。だけれども、まだやり直せるかもしれないから。
 遠慮はもはや、ない。
「……日本を、取り戻す」
 そして二人を、
「無事に帰すよ」
 あるべき場所へ。
「おう」
「ん、がんばろ」
 叩かれた肩の温もりはどこかくすぐったかった。



“あともう少し、奇跡は続く”













 介入させてみよう、第三弾。
 あまりにも悲しかったので捏造させてみた。うん、きっと快斗と新一いたらもっとスマートに救出出来たよ。あとスザクにギアスかかったままなの覚えてたよ。ジェレミアさん使わせてたよ。しかしそっちのバージョンだとスザク死亡確定なのでどうしようもない。(爆)
 このあとはシュナ様が乗り込んできても快斗と新一がぺらっぺら喋るうえに、シュナ様がルルに愛の告白をして皆ドン引き。シュナ様の黒っぷりに怯えるルルに騎士団はきゅんきゅんすればいい。そんで玉城とかが「実の弟手篭めにしようとするヤツのことなんざ信じきれるかよ!」とか言って叫べばいいよ。