※捏造と願望と、スニーカー連載中のナイトオブラウンズ小説とR2小説がほんの少し影響しています。ネタバレではないです。ジノの口調は学園内→俺、他→私のようにしています。スザク糾弾はしておりません。(少なくともそういう意図はありません)以上をご了承のうえでお読みください。読んでからの苦情はご遠慮願います。
 それではUターンorスクロールでどうぞ!


















「ルルーシュ先輩! 今日こそこの思いを受け止めてください!!」
「断る」

 コンマ2秒の速度で返された返事にジノはがっくりと床に膝をついて項垂れた。ルルーシュの目は本に固定されたままでジノを見てすらいない。通算で二十回を越そうという告白は日々応対がぞんざいになってきている。
 項垂れるジノをちら、と一瞬だけ見やるもルルーシュは興味が無さそうにまた本へと意識を戻した。
「うううううう……せめて俺のほうを見てくれても……」
「あーあー、ジノ落ち込むなよ。ルルーシュって何時もあんなんだからさー」
「そ、そうだよ! ジノ凄いよ! あのルルに冷たくされても何度もアタックするなんて!」
 床に崩れ落ちるジノにリヴァルやシャーリーが近寄って慰めているのを、他の生徒達は生暖かい目で見守っていた。ナイトオブラウンズは総じて同性好みなのだろうか。それともルルーシュが美人過ぎるのだろうか。(恐らく後者だと思われる)ルルーシュの傍にべったりくっついていたセブン様がいなくなったと思えば今度はスリー様である。最初はルルーシュとジノの攻防にはらはらとしていた生徒達も最近はもっぱらスルー状態だ。しかしシャーリー。それは本当に慰めているのか。
「先輩! 俺の何がいけないんですか!」
「うるさいわめくな」
「……俺がナイトオブラウンズだからですか」
「……ジノ」
 机の傍でじっと見上げてくる視線に耐え切れなくなったのか、ルルーシュはぱたりと本を閉じるとジノを見下ろした。その姿は何処と無く気品に満ちていて、仮にもラウンズの一人を相手にしている(しかも跪かせている)というのにひけをとらない。面倒そうに足を組みつつ、ルルーシュはジノを軽く睨みながらため息をついた。
「ラウンズだというのはどうでもいい。というか俺はお前がラウンズだということを、しかもナイトオブスリーだということを最近信じたくない」
「え、それはつまりやっぱり俺がラウンズだから」
「違う。お前みたいなのがラウンズだということを信じたくないだけだ」
 キラン! と瞳を輝かせかけたジノの希望をばっさりと切り捨てるルルーシュにリヴァルがうわ、と呟いた。シャーリーはそんなルルーシュの言葉に苦笑するしかない。確かに、こうやって学園生活を過ごしているととてもではないが彼が軍人だとは思えないのだ。若干凹みかけているジノへと更にルルーシュは言い募る。
「大体俺とお前は男同士でしかもお前は貴族様だ。今此処にいるというのも可笑しいというのに、男の恋人だと? 馬鹿馬鹿しい。俺は貴族の道楽に付き合う気は一切ない。だいたい何で俺なんだ。可愛い女子や綺麗な女子など幾らでも他にいるだろう。俺はお前と付き合う気など一切ない。それにお前同僚ならあれをどうにかしろ、アーニャ様を。四六時中物陰からカメラの音が聞こえてくるんだぞ。ストーカーだろうあれは。俺にこんなことを言ってくる暇があったら勉学に力をいれろ。幾ら短期だとはいえ、その成績はどうなんだ。お前もスザクと同じ体力馬鹿ということはないだろう。もう少し頑張ればいい成績もとれるのだからそっちに精を出せ。何度も言うが、俺はお前と付き合う気など全く無い!!」
 べらべらべらと捲くし立てるような台詞に口を挟めるツワモノはここにはいない。
 かくして通算三十八回目となるジノの告白はまたしてもフラれて終わりを告げた。





「ルルーシュ様。本当にこのままでいいんですか?」
「……なんのことだ」
 もはや様とつけても抵抗を示さなくなったルルーシュにジノは苦笑した。
 初めて会った時から皇族の――マリアンヌ皇妃の息子、ルルーシュ殿下じゃないかとジノは疑っていた。直球で聞いてみればもちろん否定されたので、主にナナリー殿下のことについて語ってみたりするとそのうちにほんの僅かではあるが反応を見せてくれるようになった。その後ちょっとしたルルーシュのミスで記憶があることがバレ、今に至る。(まさかナナリーの写真を見てルルーシュが和んでいたのを見つかったとは情けなさ過ぎて言えまい)
 何とか説得してブリタニアへはバラさない、と信じてもらえたお陰でジノはルルーシュとこうして話が出来る権利を与えられた。弟として傍にいるロロには散々睨まれて、今でも時折殺気を向けられるがその全てをルルーシュが押し止めているので今のところ実害は無い。
「あなたはブリタニア皇族です。継承権は死亡報告と同時に破棄されていますが皇族復帰となれば継承権も復活しますし、それに何よりナナリー皇女殿下が……」
「ナナリーには知らせていないんだよな?」
「……はい」
「知らせたら、俺は此処から姿を消す」
「っ!」
「スザクにもだ。俺のことを一切話すな」
「……はい。解りました」
 枢木スザク。
 ナイトオブラウンズの一人で、同僚で、イレブンで、名誉ブリタニア人で、ナイトオブセブン。
 元日本国首相の息子。
 ルルーシュの、親友だった男。



 彼との間に何があったのかジノは知らない。スザクもルルーシュも表面上は仲が良さそうに会話するものの、二人ともお互いに警戒している。何にかは解らない。けれどもそれは『親友』でもなければ『友人』でもない。『敵』と呼ぶのがしっくりきそうなほどの距離。何よりもルルーシュ・ランペルージの傍に見え隠れする機密情報局の存在が違和感を与えていた。
「……ルルーシュ様は、ナナリー殿下に会いたくないのかな」
「それは、嘘」
 ふっと漏らした言葉にアーニャが反応した。表情の乏しい顔をジノへと向けて彼女はゆっくりと喋りだす。
「あんなに切なそうに皇女殿下の名前を口にするのに、会いたくないわけ無い。あれはたぶん、会えないんだと思う」
「会えない?」
「そう。会いたくても会えない。たぶんそれは、スザクと皇帝陛下が関係してる」
「……そうだろうな。機情が関係してくるならそうとしか……だけど、何でスザクなんだ?」
 首を捻るジノにアーニャは少し目を伏せてから膝を抱えて座り込む。それから何か言いあぐねる様に唇を開閉させて、ぎゅっと体を抱きしめるように縮こまった。
「……親友、だったから。昔を知ってるから」
「え?」
「ルルーシュ様は、記憶が無いってことになってる。スザクもそれを知ってる。ううん、疑ってるように見える。皇女殿下を大切にしているように見えるのに、スザクの中ではナナリー皇女殿下はそんなに上じゃない。でも本当は凄く大切にしてる。大切にしたいのに、出来ないように見える。スザクはナナリー皇女殿下の兄上がルルーシュ様って知ってる。会わせてあげたいって、見つけ出すよって言ってるのに、教えてあげない。ルルーシュ様に記憶がないって知ってて、それを取り戻そうとしない。むしろ記憶がないほうがいいみたい。…………たくさんの、矛盾」
 アーニャは更に続ける。今までこんなに彼女が喋ったことがあっただろうか。
「ルルーシュ様も、矛盾してる。機情のロロを傍に置いてる。見張られてることを知ってる。でも記憶が戻ってるのを誰にも教えない。スザクにも。ナナリー皇女殿下に会いたがってるのに、会えないって思ってる。スザクに言えば会えるはずなのに教えない。誰にも。二人とも矛盾しているのは、何故?」

 スザクはナナリー皇女殿下の補佐で。ナナリーを大切にしていて。
 ナナリーの頼みごとを聞いている。兄を、ルルーシュを探して欲しいという願いを知ってる。
 だけれど、彼はナナリーを餌にも使おうとしていた。そしてルルーシュが記憶を失ってアッシュフォードにいるということをナナリーに教えない。記憶が戻っていないか確かめて、無いほうがいいと思ってすらいるように見える。

 ルルーシュはナナリーをとても大切に想っている。会いたいと想っている。
 だけれども同時に見張られていることも知っている。記憶が無いフリをしている。スザクには特に悟られないように。偽りの弟だと気付いているのにロロを傍に置いている。

 皇族に見つかりたくないというのなら、スザクに助けてもらえばいい。こっそり会うくらい、喋るくらい出来るはず。
 だが、二人ともそれをしないのは何故か。

「……スザクも、ルルーシュ様も。何か大きなことを隠してる」
「大きなこと?」
「そう。……ねぇ、ジノ。私は不思議なことがある」
「ん?」
「スザクがラウンズに入ったのは、ゼロを捕まえたから。ゼロは公にされないで処刑された。仮面の中身も何も公表されないでただ処刑したとだけ。何で?」
「……よっぽどマズイ人物か、皇帝の気紛れか……若しくは生きているか」
「ゼロは騎士団の総領。見せしめに公開したほうが良かったはず。でもしなかった」
「だな。それが引っ掛かっちゃいる」
「スザクは、処刑されたゼロを知ってるはず」
「ああ。……ん? アーニャ、それに何の関係が」
「一年経ってゼロは復活して、スザクはエリア11にすぐさま向かった。そこまではいいの。でも、何でその後直ぐに学園に復帰したの? ゼロを追うのなら学校に通う必要なんて無いはずなのに」
「……え」
「何で直ぐに総領事館に向かわないで学園に行ったのか。ロロとも話してるみたいだった。機情とも関係があるみたいだった。……たぶん、ルルーシュ様絡み。何でゼロが復活したらルルーシュ様を確認しなきゃいけないの」
「それ、は」
「ナナリー皇女殿下は餌。スザクにとっての『敵』を釣り上げるための餌。――ナナリー皇女殿下を餌として使って有効なのは、私が知る限りでただ一人しかいない。そしてスザクの明確な『敵』もたった一人」
「アーニャッ! お前自分が何言ってるのか解ってるか!?」
「解ってる。解ってるから、ジノに話した」
「え?」

 すくっ、とアーニャは立ちあがるとジノを真っ直ぐに見据えた。何も感情の浮かんでいなさそうな瞳には、確かな決意の色が浮かんでいる。その色にジノが若干目を見張っているとアーニャは胸に手を当ててぐっと拳を握り締めた。
「私は、皇女殿下を守りたい」
 それは以前からアーニャが言っていたことだ。スザクにも真っ向から「ナナリー皇女殿下を餌として使うつもりなら、あなたには皇女殿下を任せられない」と宣言した。アーニャの中でナナリーがかなりの位置にいることは間違いない。それはジノも良く解っている。
「だからルルーシュ様が何をしていようと私はスザクに何も言わない。スザクが、もし皇女殿下を害さなければいけない立場にいるなら皇女殿下を守るために、スザクがそんなことしなくてもいいように、私は知らないふりをする」
 強い視線でもってそう言うアーニャは、皇女殿下もスザクも守りたいのだと言う。彼女は恐らく何があっても知らないふりを突き通すのだろう。例えそれがラウンズに相応しくない振る舞いであったとしても。
 そんなアーニャが少し羨ましく思えて、ジノは彼女を眩しいものを見る目で見る。アーニャは赤みを帯びた瞳をジノへ向けて静かに問いかけた。
「ジノは、どうするの?」
「私?」
「ルルーシュ様が、もしブリタニアの敵で、スザクの敵だった場合。貴方はどうするの?」
「…………私、は……」

 たぶん、その答えは初めて会った時から決めていた。












「せーんーぱーいー! 俺と付き合ってくだ」
「断る!!」
 生徒会室の扉を開けて目に入った姿に勢い良く飛びつこうとすると、すぱんっ! といい音と共に何かが顔面に投げつけられた。ルルーシュの投げたものに当たるなど、ラウンズとしては少々いただけないのだがそんなことは綺麗さっぱり流してジノはルルーシュへと抱きつく。重い! と批難の声があがるのも無視して強く抱きしめていると、ルルーシュが不思議そうに首を傾げた。
「……ジノ? どうした、何かあっ……」
「ルルーシュ様。あなたはゼロですか?」
「っ!?」
 腕の中の体が震えたのに、ジノはほんの少し苦笑した。
「……何を馬鹿なことを言い出すんだ、お前は。全く、俺がゼロだなんて一体」
 息を呑んだルルーシュが直ぐさま取り繕うように喋ろうとするのを抱きしめることで止めて、ジノは更に問う。
「スザクと貴方の繋がりやら機情のいる理由だとかその他諸々を鑑みてみたら、その答えにぶち当たりました。どうですか? 正解?」
「…………俺が正解だと言ったら、お前はどうするんだ?」
 返ってきた静かな声音には、何かを削ぎ落とし諦めたような声が混じっていた。硬いそれにルルーシュが何を諦めようとしているのかを悟ると、ジノは困ったような微笑を浮かべながら誤解を解こうと口を開いた。
「そうですねー、口封じのために私を貴方の騎士にしてくださいとでも言いますかね」
「………………………………………………は?」
 たっぷり数十秒は経ってから、ルルーシュはいささか間の抜けた声を上げて目を瞬かせた。
 慌てて腕の中でジノの方を向いてくる彼に、ジノは笑う。
「さすがに今すぐ黒の騎士団に来いと言われたら困るんですけど、でも私ルルーシュ様に一目惚れしちゃったんですよ。ゼロとして捕まって欲しくないし、やめて欲しいですけどやめる気もないだろうし、だったら」
 すっと腕を離してルルーシュの体をこちらへと椅子ごと向ける。咄嗟の事態に動けないルルーシュの前に跪くと、白く細い手をとって恭しく口元を寄せた。
「共犯者にでもなるかと思いまして」
 にっこりと笑みを浮かべてルルーシュを見つめれば、彼は暫くの間呆けた顔をしてから盛大にため息をついた。それからジノをジロリと睨みつけると、まだ警戒を解かずに問いかける。
「お前が俺の騎士になってどんなメリットがあるというんだ?」
「あなたの傍にいられます、最期まで」
「それがどんなメリットだと言うんだ。俺の傍など、修羅の道を行くようなものだ。……それに騎士団には来ないのだろう? 来てくれなどと言わないが、お前は傍にいたいなどと言うのにどうして」
「今はまだ、ですよ。ブリタニアをひっくり返すおつもりならば下準備は中からも必要じゃないですか? それにナナリー皇女殿下をお守りする人員も」
「! お前……」
「スザクはどうやら皇帝陛下に何か言い含められているようなので。大方、貴方の記憶が戻っていたら皇女殿下を使うおつもりでしょうけど……私もアーニャも、そんなことさせたくないんですよ。ナナリー皇女殿下には笑っていてほしいし、スザクにもそんな真似させるのは忍びないし。何よりあなたも嫌でしょう?」
「…………」
 黙ってしまったルルーシュにジノは笑う。ルルーシュはスザクのことを切り捨てられない。たぶん切り捨てたくないのだろうと、知っていた。アーニャがナナリーから聞いたエリア11での昔話には決まってスザクが居て。

『お兄様とスザクさんが組んで出来なかったことは無いんですよ』

 幸せそうに微笑みを浮かべるナナリーを思えば、ルルーシュもまた同じ感情を持っていただろうことは推測出来る。そしてもし彼がゼロならば、特区で起こったことに説明がつく。あれはスザクでないと、スザクを知る者でないと使えない作戦だった。
「私はあなたの騎士になりたい。だけれど私が騎士団へ行ったところで有用性はあまり無いと思います。私を使うならブリタニア軍内が一番有効です。アーニャはナナリー殿下を守りたいと言ってますし、彼女が盾なら私が剣になります。皇女殿下を、ルルーシュ様の代わりに守ってみせます」

 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
 マリアンヌ皇妃の忘れ形見で、閃光のマリアンヌの息子で、ナナリーの兄。
 傾国と歌われた美女達にも劣らぬ容姿とその聡明さ。
 だけれどそんなこと本当はどうだってもいいのだ。ジノにとってはアッシュフォードで出会ったルルーシュが全てで。確かにマリアンヌの息子ではないかと容姿を見た時には思ったが、それも後付けだ。

 初めて会った時に駆け寄って肩を叩こうとして躊躇い、ぽんっと肩に手を乗せるだけにとどめた。叩いたら折れそうなほど華奢だなと思ったのは事実だったけれど、何よりも――――彼の前に跪きたい欲求に駆られたからだ。
 何かが告げていた。直感とも第六感とも言うべき曖昧な、だけれども信じるべき感覚がジノに教えていた。
 目の前の人間は、ジノが捜し求めていた人だ。
 自分と同じ心が弱い人間。ジノが本心から認めるその基準をやすやすと乗り越えて惹かれるほど、彼は強い光を瞳に宿していた。大切なものを失って、それを取り戻そうとするような光。その辺の人間は誤魔化せてもジノにそれは通じない。
 ただ強いのではない。それは、弱さを知りながらもそれでも足掻こうとする強さだ。昏い瞳をするスザクの弱さはラウンズと認めるに好ましい。だが、今までジノの基準で決めていた弱さなどよりも、それが霞むほどに人を惹きつける危うい強さをルルーシュの中に見つけたのだ。
 欲しいと思った。
 見つめていたいと渇望した。
 気高く光る至高の紫を、傍で。
 透明で壊れそうな細工はダイアモンドで出来ている。危うく見えてその実強いその輝きに人は惹かれるのだ。それはきっと自分だけではないのだけれども。それに、幾ら硬くともそれは所詮宝石なのだからどんなことで砕け散るか解らない。だからその輝きを守りたいと思った。

「ただの騎士じゃなくて共犯者ですよ? どうです、一人なのに二役も出来てお得でしょう」

 そう言って笑うジノを暫く見つめていたルルーシュがため息と共に肩の力を抜いた。
「……お前、馬鹿だろう」
「そんなことないですよ。私は自分が欲しいと思ったものを確実に手に入れる方法を、ちゃんと考えて行動していますから」
「……頼んで、いいのか」
「ええ。ただし私はあなたの騎士になるんですから、そのうちにはそちらに行きたいですけど」
「……ジノ・ヴァインベルグ」
「はい」
「俺は、……私は、お前を信じていいんだな」
「もちろんです。マリアンヌ様の名にかけて、誓いを違えたりはしません」
「……いいだろう」
 とっていた手が明確な意思をもって手の甲を差し出した。その意味を迷わず受け取り、ジノはそっとその白い肌に口付けを落とす。騎士の礼としてはおかしな動作だが、忠誠の誓いとしては間違っていない。
「お前を、ジノ・ヴァインベルグをルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの騎士として認めよう。ナナリーを守ってくれ」
「イエス・ユア・ハイネス」
 口付けてから見上げたルルーシュの瞳は、眩しいほどに美しくジノを見つめていて。
 どうかその輝きが何時までも色褪せぬように守りたいと、願った。



「あ、ルルーシュ様」
「なんだ」
「私はあなたの騎士ですけど、あなたのことが好きなことも本当ですのでどうか付き合っていただけませんか?」
「……………………お前」
「はい?」
「………………………………ブリタニアを壊した後になら、考えてやる」
「! よっしゃあ!!」



 思いがけぬ言葉に喜ぶジノに隠れて、ルルーシュが頬をうっすらと朱に染めていたのを残念ながら彼は知らない。







“その煌きは私の全てを奪い去って!”

“眩しい空を見てるだけだったはずなの、に”