※ルルーシュがぶっ壊れてます。いつものごとく見切り発車です。スザクが史上最高に報われておらず可哀想な気がします。むしろ本当にくっつくのかすらわからn(ry
※他カプ要素を含みますが、それは腐女子ルルーシュの妄想です。あくまでここはルル受けサイトでそのカプはこのサイトでは絶対に無いですよ!(でもちょっと楽しかった/え)
※かってないほどのギャグです。たぶん。
※Uターンorスクロールでどうぞ!



















「……んー……」

 もぞり、と布団の中で動く。もう起きなくては。今日は道場での朝練は無いから少しゆっくり眠っていられた。
 ふと、何故か思考に金色の影がよぎる。瞼の裏に鮮やかに翻った金髪の三つ編みにハッと目を開けて、それから赤面してしまった。
「重症だ……」
 朝起きて直ぐに彼の顔が思い浮かぶなんて。どこの乙女だろうか。女々しいにもほどがある。
 でも浮かんでしまった笑顔は消えてくれなくて。布団にずるずると崩れ落ちた。

 自分の名を呼ぶ彼の声。
 優しく肩を叩いてくれる大きな掌。

 ……好きだ、と思う。普段はそんなこと恥ずかしくて言えないけれど。
「……よし」
 布団を剥いで鏡の前に立つ。前髪が伸びていることに気が付いて、ハサミを手にとった。慎重に櫛で整えながらハサミをいれていく。彼は何か言ってくれるだろうか。
 学校だからあんまり華美なアクセサリーは付けられないけれど、中のTシャツを黒にしてシルバーのクロスをつけた。新しいそれは、彼が前にくれたもの。……くれたその時を思い出して顔が緩む。
 もう一度鏡を覗き込んでにこっと笑顔を作った。
「今日の、僕は可愛いかな……?」










「……と、こんな感じを希望しているんだが」
「何で僕が朝っぱらからジノなんかの顔を思い出さなきゃいけないのさ!?」
「メルトがそういう歌だからだ」
「いやいやそういう問題じゃないし!! だいたいここルルーシュ総受け基本スザルルサイトでしょ!? マズイよみんな誤解するよ!?」
「大丈夫だ。みんなきっと解ってくれるさ」
「そんないい笑顔で言われても!! っていうか休日の朝乗り込んできて話すのがそれなワケ!?」
「インスピレーションは大事だぞ?」
「そういう問題じゃない!! ああもうお願いだからせめて上から降りて!」
 朝だし君何でか露出度高いし色々マズイんだよ! という言葉は辛うじて飲み込んだ。だけれどもさすがに朝からは刺激が強すぎる。健康的で若い男には特に。
「何だよ、お前が朝起ちしてても私は気に」
「わーっ!! わーわーわーっっ!!」

 ちょっと待てちょっと待て!! ちょっとまってっっ!!

「そんな言葉何処で覚えたのルルーシュ!!」
「同人誌」
「僕のルルーシュが毒されていく……!」
「誰がお前のだ! お前がジノのなんだろう!」
「だからその妄想いい加減やめてよ!!」
 ああ、何で朝からこんな不毛な言い争いをしなくてはいけないんだろうか。しかも好きな子と。……また泣けてきた。


 いつもならば六時には起きて鍛練を始めるのだけれども今日は何も無い休日で。たまにはいいかなーと7時までぬくぬくと惰眠を貪っていると、下でガラガラピシャンッ! と玄関の引き戸が乱暴に開く音がした。
 寝ぼけた頭でそんなことをするのは隣の幼馴染みだけだと考える。その妹や弟はもっと丁寧だ。彼女も昔はとても丁寧だったのだけれども、年月が経つうちにだんだんとがさつになってきた。……そうさせてしまったのは自分なのかもしれないけれど。
 ダダダダダダと勢いよく階段を登ってくる音に体を起こそうとして――――扉が勢いよく開かれ布団の上に飛び乗ってきたものに「ぐえっ!」と悲鳴をあげた。
「スザク! 今すぐジノのことを考えろ!」
「が、げほげほっ!はぁ……っ?」

 ――――そして冒頭にもどる。

 自分の体を跨ぎ乗っかってくるルルーシュはショートパンツとニーハイソックス、ニットのセーターを着ていた。セーターは首元が鎖骨が見えそうなほど空いている。まだ冬だというのに寒くないのだろうか。
 問題はルルーシュがこちらを覗きこむように体を傾けていて――――控えめな胸の谷間が見えそうだということだ。
 決して胸は大きいわけではないけれども彼女はプロポーション抜群だ。白い肌が眩しくてくらくらと目眩がする。舐めたら甘そう、などとちょっと沸いたことを考えるものの相変わらず彼女の突飛な発言はそんなことを考える余地を与えてくれない。
「そうかメルトは不満か……。となるとワールドイズマインで」
「僕お姫さまキャラじゃないから!! ってかジノとくっつけないでよ!」
「何言ってるんだ二期になってからのカプ編成はジノスザ、ルルロロorロロルルが主流だったろ?」
「最終的にはスザルルが圧倒的だったよどう考えても!! ああもうだからとりあえず降りろって!」
 ますます身を乗り出してくるルルーシュの姿から必死に目を逸らしてその細越を掴むと、下にあるクッションの上に放り出した。一メートルほどもあり柔らかなそれはルルーシュから誕生日にもらったものなのだけれど、実質的に一番使っているのは彼女だろう。ここに来たときには必ず座っているのだから。
 クッションに落とされた彼女は不満そうな顔をするも、直ぐにふむ、と顎に手を添えて考え出す。
「まぁそうだよな……どちらかというとお前はナイトだもんな。サムライでもいいけど。……ん? つまりがくぽか?」
「神威じゃありません! 踊らないからね!?」
「お前リズム感あるからいけそうなんだけどなぁ。前にジャ○ーズ応募した時も嫌がったし」
「当たり前でしょ!? アイドルなんてなれないしそもそもなりたくもないよ!!」
 三年前ぐらいだっただろうか。家に一次通過の封筒が送られてきた時にはさすがにぶちキレた。ルルーシュの案に母親がノってしまったのも悪いのだが。思えばその頃からルルーシュがBLにハマり出したのではなかっただろうか。
「……ジャニオタとこっちどっちのがマシなんだろうなぁ……」
「? 何か言ったかスザク」
「ううん、なんでもないよ。ちょっと目眩が、ね……」
「えっ!?」
 どっちにしろろくでもなかった気がする、と憂うようにため息をついたスザクにルルーシュが目を丸くする。そして慌てたように再びベッドへと伸び上がり、体を起こしたスザクを心配そうに覗き込んだ。
「大丈夫か!? 体力馬鹿のお前が目眩だなんて……!」
「あのねぇルルーシュ、君一体僕のことなん、だ、と……」



 コツン、と。
 額がぶつかった。



「――ッ!?」
「うーん、熱はないようだな……」

 ほんの数センチの場所に至高の紫と柔らかな桜色の唇があった。
 吐息すら感じられる距離に一気に頭に血が上る。恐らく顔も赤くなっていっているはすだ。ちっとも気付いた様子のないルルーシュは額をつけたまま首筋へと手を伸ばしてくる。
 細く白い指先が肌に触れてビリッと電流が走った気がした。少し肩を震わせるとルルーシュは「くすぐったがるなよ」と言いながら笑って脈を計り始める。

 ほんの少し手を伸ばせば、その柔らかで細い肢体が抱き締められる位置にあった。

 心臓の音が耳元で聞こえるような気がした。
 理性は今抱き締めたって無駄だって叫んでいる。
 むしろこのまま押し倒してしまえばいいと本能が笑っている。
 天使と悪魔が脳内で喧嘩して、そして僅かに黒い翼が翻って。

「ルルーシュ……ッ!」
『ルルちゃーんスザクー! 朝ご飯食べましょう降りてらっしゃーい?』
「あ、はーい!」

 腕が上がった瞬間狙いすましたように階下から聞こえた母親の声に、ルルーシュはぴょんっとベッドから飛び降りてドアに向かった。スザクは固まって動けない。くるりと振り返ったルルーシュは固まっているスザクを見て首を傾げてから「先に行くぞー」と言って部屋を出ていった。


「…………………………母さんの、母さんのばか……っ!」


 『あらあらまだ付き合っていないうちにルルちゃんに変なことしたらお母さん許しませんよ?』と笑う母の姿が見えた気がしてスザクは再びベッドに突っ伏す。
 …………とりあえずまずはトイレに行くべきだ、と若干前屈みになりながらスザクは情けない気分で部屋を出ていったのだった。




“幼馴染と青少年の事情”