※ルルーシュがぶっ壊れてます。いつものごとく見切り発車です。スザクが史上最高に報われておらず可哀想な気がします。むしろ本当にくっつくのかすらわからn(ry ※女子メンバーが相当ぶっ壊れているのでどんなルルーシュたちでも大丈夫! と言える方だけご覧ください。見た後の苦情はご勘弁。 ※今回はナナリー受けを含みます。 ※かってないほどのギャグです。たぶん。 ※Uターンorスクロールでどうぞ! 「悪夢だ……」 「俺はそう項垂れながらも変わらずルルーシュを好きなお前がいつも凄いと思う」 「ありがとうリヴァル。あんまり嬉しくはないけど」 机に突っ伏したままスザクは深くため息をついた。誰かどうにかしてほしい、この状況を。いつものことだとはいえ精神上よろしくない世界が目の前で繰り広げられている。ああジーザス! 「シャーリー、そっちは?」 「こっちはソフィから返してもらったやつ。読みたい?」 「ジャンルとカップリングは?」 「リボーンで骸ツナ甘々」 「読む」 「了解」 「ルルちゃん、これはなに?」 「土銀です」 「んー……ミレイさん的には反対でもいっかな。または土沖」 「ニーナ、それは?」 「えっと……カイレンでレン凌辱本。あと、サンゾロ鬼畜」 「意外と凄いの買ってきたのねニーナ……」 「そういうカレンは?」 「快新とミハアル」 「カレン、どっちも読みたい」 「そう言うと思ったわ」 生徒会の机にたくさんの薄っぺらい(分厚くて小さいものもあるが)冊子が積み上げられている。その周りを麗しき生徒会女子メンバーが並んでいる。が……今日も今日とてその内容はスザクやリヴァルには理解しがたいものだった。 「みんな冬の祭典行ったんだ。でも、どうせなら一緒に行けばいいのに」 「日にちもジャンルもバラバラで、何時から行かなきゃ大手さん並ぶとかあるからじゃないかな」 「良く知ってるなお前。……ちなみにその日枢木スザクくんはどこにいらっしゃったんでしょうか?」 「…………冬の祭典会場で、ルルーシュの荷物持ち……」 「…………苦労してんな、お前」 「いらない知識ばかりが付いていくよ……」 12月も終わりの冬の祭典をルルーシュは楽しみにしている。中学生辺りからそれらのイベントの荷物持ちにスザクが駆り出されるのはもはや恒例行事だ。最初は抵抗していたものの、夏や冬の祭典から帰ってきたルルーシュの荷物の量と疲れっぷりについついほだされてしまったのだ。 精神的苦痛が凄まじいとはいえ、結果的には良かったこともある。何せルルーシュはそこらのアイドルよりもよほどレベルの高い美少女だ。幾らイベント会場とはいえ、そんな彼女に声をかけてくるのは男女問わず多い。しかもコスプレをしていたこともあるのでカメコの追っかけが酷かった。ルルーシュ自身は全く気付いていないそれにどんなに肝が冷えたことか。 スザクが文句を言わずにルルーシュについていくのは言わば虫除けだ。変なやつに彼女が付きまとわれるくらいならば、例えどんな場所でも自分が傍でガードしていたほうがずっといい。 「ほんと頑張ってるよな、スザクは。報われてないけど」 「自分でも最近報われる日なんてくるのかが不思議になってきたよ……」 何が悲しくて男友達とカップリングにされなければいけないのだろうか。スザクが好きなのは今も昔も彼女だけなのに。 いつものことながら凹むスザクをリヴァルが哀れむように見る。常識人二人の横では相変わらず男には付いていけない会話が繰り広げられていた。 「あら、お姉さまたちもう始めてらっしゃいますの?」 シュン、と扉が開く音がしてそちらに目を向けると入ってきたのはナナリーと、下級生の少女だった。ツインテールの髪は可愛らしいがどこか大人びた表情を浮かべている。その二人に気が付きルルーシュがぱっと顔を輝かせた。 「ナナリー、日直終わったのか?」 「ええ。アリスちゃんが手伝ってくれましたから」 「手伝うってほどなにもしてないけど」 「でも一緒に日誌に書く内容を考えてくれたでしょう? ありがとうございます」 「……ん」 アリス、という名前を聞いてスザクは彼女のことを思い出した。アリスはナナリーと同じクラスで彼女の親友だ。時たま手伝いにくることもある。去年本国から転校してきたのだけれど、ナナリーとは本国にいたころからの知り合いらしい。 だからスザクはアリスのことをあまり知らない。 「ナナリーも見るだろ? ミハアル。カレンから貸してもらったんだ」 「ええ、是非読ませてください」 「そういえばナナリー、今年はルルちゃんと行かなかったんだっけ?いつもルルーシュ、スザク、ナナリーで一緒に行ってたのに」 「はい。今年はアリスちゃんがいましたから」 ね?とアリスにナナリーが微笑む。アリスは照れたようにそっぽを向きつつ頷いた。照れながらもどこか嬉しそうなそれに、リヴァルは既視感を覚えてん? と首を傾げる。 「……あれ、なんか……見たことあるような」 「リヴァル?」 「んー……」 薄ぼんやりとは浮かんできながらもはっきりと思い出せないそれにリヴァルがしきりに首を捻る。うなり始めたリヴァルから目を離してスザクが生き生きとしているルルーシュをぼーっと眺めていると、再び音と共に扉が開いた。 「あらアーニャ。遅かったのね」 「……さきに行くなら言ってほしかった」 「アーニャさん?」 扉が開いて入ってきたのはナナリー達よりも一つ年下のアーニャ・アールストレイムだった。彼女も本国にいた時からの知り合いらしく、去年この学校に入学してきた。……正しくはジノと同じくナイトオブラウンズの一人らしいのだけれどもほぼ無表情で感情表現が少なく、不思議系キャラのせいか威圧感はない。 そんな少女が珍しく少し拗ねたような目で睨んでくるのに、ナナリーは心当たりがなく首を傾げた。 「……私、あなたのクラスの子に伝言を頼んだ。先生に呼ばれたから教室で待っていてって」 「私は聞いていませんけど……」 「その子が忘れちゃったんでしょ。仕方ないじゃない」 ジト目でナナリーへと詰め寄るアーニャにアリスが呆れたようにため息をついた。するとアーニャの視線がナナリーからアリスへと移りスッと目が細められる。 「……あなた?」 「は?」 「アリスが、何かしたの?」 「はあぁ? 何で私がそんなことしなきゃいけないのよ」 「……そう?」 水面下で攻防が起こっていそうなやり取りにスザクとリヴァルは顔を見合わせる。どこか不穏な空気にナナリーが不思議そうに首を傾げるものの、生徒会女子メンバーは全くそこの話を聞いていなかったためにテンションが高くなる一方だ。 「最近私忍たまも気になるんだよね……」 「ん? シャーリーは何年が気になるの?」 「やっぱり六年生ですかね。五年生もいいけど」 「私は四年生、かな」 「忍たまはイマイチ食指が伸びないのよね……高校生以下はなー」 「……私は最近携帯できる動物が……」 「ポケモンでシゲサト?」 「何で解るんだカレン!?」 「ルルーシュの好きになるのなんて大体予想できるわよ」 「あ、私はスペシャルのほうでレイエが好きです」 「あら? ナナリーがノーマルなんて珍しいわね」 思わず話に加わってしまったナナリーに、しかしアリスとアーニャはふっと息をついて凍っていた空気を霧散させた。そして女子メンバーの輪に入っていく。どうやら終わったらしいプチ修羅場にスザクとリヴァルはほっと息をついた。 「また先輩たち、えらく買い込んできましたね……」 「だってほら、やっぱり夏と冬って特別だし」 「そうですけど」 「アリスちゃんは何か買ったの?」 「……ええ、まぁ」 シャーリーからの質問にアリスはどこか歯切れ悪く答える。問いかけから逃げるように、並べられているものを軽く見やり――――ふとその中の一冊を手に取った。 「これ……」 「あ、アリスちゃんARIA好き?」 「ええ。これって」 「アリシア×灯里よ。アリス、そのカップリング好きなの?」 「は、はい……」 カレンが買ってきた一冊を手に取ってじっと見つめる姿に、ミレイが何か感づいたようににんまりと笑みを浮かべた。そして積み上げられた中からまた一冊を抜き出してひらひらと見せてみせる。 「ねぇアリス。これは?」 「なのフェイ!」 「正しくはなのフェイなのだけど。……読みたい?」 「か、貸してください!」 キラキラと目を輝かせるアリスに満足げにミレイはそれを手渡す。嬉しそうなその姿を横目に見て、ふとアーニャが呟いた。 「……GL、なら」 「アーニャさん?」 「同い年もいいけど、年下×年上もいいと思う」 「? ええ、そうですね……?」 突然告げられた言葉に目を瞬かせつつもナナリーは同意を示す。滅多にこの話題には入ってこないアーニャが珍しい。どうしたのだろうかと首を傾げる横では、何故かアリスがわなわなと肩を震わせてアーニャを見ていた。 「ア、アンタ……ッ!」 「言い換えるなら、年下騎士×年上お姫さまでもいいと思う」 「……喧嘩売ってんの?」 「そう聞こえるなら」 「……へえぇぇぇぇ……?」 バチバチバチィッ! と二人の間に火花が見えた。 またもや始まったそれにさすがに気が付いたのか女子メンバー全員の視線が集まる。ナナリーはそんな二人を見てしきりに首を傾げ困ったように名を呼んだ。 「アーニャさん? アリスちゃん?」 「いいわその喧嘩買ってあげる!」 「勝ったら明日のお昼は二人きり」 「負けて吠え面かかないでね」 「そっくり返す」 しかし周囲の反応なんて気にも止めずに二人は急いで外に出ていく。生徒会室を出て早くも聞こえた打撃音にナナリーが慌てて出ていった。 「……熱いな、女の闘いは」 「ルルーシュ、あれはちょっと違う闘いだと思うわ……」 ぽかん、と見ていたルルーシュがしみじみとした様子で呟いた言葉にカレンは首を振る。 リヴァルもまた閉まったドアをじっと見つめていたが、暫くすると不意にぽんっと手を打ち付けてああ! と納得したような声をあげた。 「わかった! スザクだ!」 「へ?」 「さっきのアリスの表情! ルルーシュ絡みで何かあった時のお前にそっくりだった!」 「……あんな顔、してたかなぁ?」 「してたしてた。あれよりも嬉しそうだったけど」 「……そう」 リヴァルの言葉に一度頷き、そしてスザクは呟く。 「つまり僕はまだまだこの厄介な恋に生きていかなきゃいけないわけだ……」 「……おお」 どこか乾いた声ではは、と力なく笑いながら呟くスザクが不憫で、リヴァルはふわふわとした茶色の髪を宥めるように撫でた。ううう……と唸るスザクに、だけれども決して嫌がっているわけではなさそうな様子にやれやれと苦笑していると。 「…………リヴァスザ?」 「スザリヴァじゃない?」 「リヴァルが相手じゃあんまり萌えないかな……」 「どっちかっていうと当て馬タイプだものね」 「でも、意外とダークホースかもよ〜?」 最後に聞こえてきた想い人の声に、リヴァルもまたスザクと同じように深く項垂れ机に突っ伏したのだった。
“片思い前線、迷走中” |